ハードウェア台数別 Nutanix CE おすすめ構成

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この記事はNutanix Advent Calendar 2021の9日目として執筆しました。

Nutanix CEのクラスタ構成台数

Nutanix HCIは基本的にクラスタで動作するシステムですが、Nutanix CEは管理UIであるPrismを手軽に体験するために、1ノードでの構成も可能となっています。また、複数ノードでクラスタを構成する場合、最小で商用版の基本最小構成と同じく3ノード、最大は制限が掛かっており4ノード構成に対応しています(商用では、特定用途向けとして1ノードや2ノード構成が存在しますが、基本は3ノード以上です)。

まとめると、Nutanix CEで構成可能なクラスタのノード台数は1・3・4の3パターンです。

また、Nutanix CEは商用版と同じく、クラスタ間でのリモートレプリケーションが利用可能です。今回は、これらの点を踏まえて、Nutanix CEを利用する際のハードウェア台数別のおすすめ構成を解説します。

なお、現行バージョンのNutanix CEはAHVとESXiに対応していますが、当記事の対象はAHVの場合とします。

1ノード

CEのシングルノードクラスタは、何といっても気軽に構築して、Nutanixの管理UIであるPrismを体験できるのが最大のメリットです。その反面、データの冗長化は行われませんので、大事なデータを載せてはいけません(商用版だとシングルノードでも筐体内で二重化される構成が存在します)。

Nutanix CEを構築する際に、NUCなどの小型PCがしばしば使用されますが、そうした場合、ドライブ搭載本数の関係でハイパーバイザーのブートドライブとしてUSBメモリが使用されるケースが多いです。しかし、USBメモリは24時間常時稼働させるとよく壊れます。MLC採用を謳った製品などでも、いくら書き込み耐性があっても、長時間の稼働を想定した放熱設計ではなかったりするので壊れます。もしかすると、組込み用途のUSBメモリならばマシかもしれません。あるいは、USB接続のSSDも良いでしょう。しかし、しつこいようですが、大半のUSBメモリは簡単に壊れます

また、CEの旧バージョンはUSBメモリが壊れたときに備えて、USBメモリのみのイメージングを行う修復インストール機能がありましたが、残念ながら現行バージョン(ce-2020.09.16)ではその機能が無くなっています。ESXi対応するためにインストールの仕組みが変わったのですが、その際に抜け落ちてしまいました。そのため、USBメモリが(というか何らかのコンポーネントが1つでも)壊れたらアウトです。

また、対応ハードウェアが細かく明確に定義されている商用版とは異なり、CEでは対応ハードウェアの制限を緩める代償として、商用版ほど事細かな構成や状態のチェックが行われていません。その為、ソフトウェアアップグレードを行った際に正常に終了しない、といったケースも稀によく発生します。商用版ならばNutanixのサポートにケースオープンすると、手際よく修正してもらえたり、修正方法をも案内してもらえたりしますが、CEはノンサポートです。CEのインストールが上手くいかない場合の対処は割と多くのナレッジがコミュニティにもありますが、CE稼働中のトラブル対処に関しては「おかしくなったら再インストールすればおk」の精神で利用している人が殆どなので、有力情報が得られないことが正直多いです。

繰り返しますが、シングルノード構成のCEには、大事なデータを載せてはいけません。

2ノード

2ノードお持ちであれば、シングルノードクラスタを2つ作って、ゲストVMをリモートレプリケーションするのがオススメです。こうしておけば、片方が故障してしまっても、もう片方に正常なデータが残っていますので、復旧もしやすいです。

3ノード

3ノードあれば、3ノードクラスタ構成が組めます。3ノードクラスタの場合、クラスタ内でデータが二重化される点はいいのですが、クラスタ内の1台のブートドライブが壊れてしまった(=再インストールが必要な)場合の修復手順にちょっとコツが要ります。具体的には、壊れたパーツを交換したら、再イメージングをする際に、ノードとCVMに元のIPアドレスとは異なるIPアドレスを設定する必要がある、という点です。

Nutanixクラスタの最小構成は3台です。1台が壊れて2台になっても、データの二重化は継続されますが、あくまで「1台壊れた3ノードクラスタ」という扱いであり、そのクラスタからから1台を取り外すことができません。その上、先ほど触れたとおり現行バージョンのCEには修復インストール機能がありません。そのため、パーツ交換をしたノードは「別の新しいノードを追加しますよ~」という扱いにすることで「1ノードが壊れた4ノードクラスタ」にしてから、壊れた1台を強制削除する、というステップで修復することになります。

3ノードクラスタの制限事項と、CE現行バージョンの機能デグレが組み合わせってこんな面倒なことになっていますので、1+1の2ノードの方がご自宅環境としては使い勝手が良い気がします。商用版ではこんなことはありませんのでご安心ください。

4ノード

4ノードの場合は、4ノードクラスタを1つ作るよりも、アップグレード失敗などに備えて、3ノードクラスタとシングルノードクラスタに分けて運用したほうが使い勝手が良いかと思います。両クラスタのリソース容量に差があるので、リカバリが必要なVMは絞る必要があるかもしれません。

5ノード

5ノードあれば、4ノードクラスタとシングルノードクラスタの組み合わせで良いかと思います。 両クラスタのリソース容量の差が更に大きい点には注意しましょう。

6ノード

6ノードあれば、マルチノードクラスタでのワンクリックアップグレード検証ができることになるので、3ノードクラスタを2つ作るのが妥当かと思います。両クラスタのリソースも同程度にしやすい点はいいですね。

7ノード

もうそろそろ良いかなという気分になってきました。7ノードあれば4ノードクラスタと3ノードクラスタへの分割が妥当ですね。

8ノード

8ノードもあれば、4ノードクラスタ2つで鉄壁です(?) もう、ここまでくると、ちょっとした企業環境より大きい可能性があります。

サードパーティ製バックアップソリューションを利用する場合

複数ノード、あるいは複数クラスタの構成について見てきましたが、逸般的な誤自宅ユーザーの環境にはNutanix以外のサーバーやNASも転がってるでしょうから、それを活かす方法として、Nutanix AHV対応のサードパーティ製バックアップソリューションを利用する場合の構成にも触れておきたいと思います。

ただし、サードパーティ製バックアップソリューションにも色々な構成パターンがありますので、ここに記載しているのが最善策とも限りませんので、あらかじめご了承ください。

HYCU

Nutanixユーザーに有名なバックアップソリューションであるHYCUは、仮想アプライアンスで提供されます。簡単にデプロイできますし、なにより「Nutanix CEユーザーはライセンス不要」という点が最強です。バックアップ先として外部のNASが選べますし、簡単にデプロイできるということは、仮にクラスタが全損した場合のHYCUアプライアンスの再展開もラクということになります。日本語の情報としては、SB C&Sさんのブログが分かりやすいです。また、UIや公式ドキュメントの多くが日本語化されている点もイイです。推し。

Veeam

Nutanixユーザーに限らず多くの方に知られているVeeam Backup & Recoveryには無償で利用可能なCommunity Editionが存在します。ただし、保護対象が10ワークロードまでという点は誤自宅環境の規模によっては厳しいところ。バックアップサーバーとしてWindowsが要る(あ、でもクライアントOSでもいいのか…)という点と、バックアップサーバーとは別にBackup Proxyを展開する必要がある点も注意。有名な製品なので、Veeamを勉強したいという人も多いかと思います。これまた SB C&S さんのブログがわかりやすい。

NAKIVO

最近まで知らなかったし、たまたま見つけただけだし、使ったこともないけど、ちょっと気になってるのがこちらのNAKIVO。1ソケット当たり$99(つまり4ノードクラスタならその4倍)というお値段の商用製品なんですが、AHVに対応していて、しかも仮想アプライアンスを展開しなくても、QNAPとかSynologyのNASにインストールして使えるんですよね。

まとめ

色々な構成パターンをご紹介しましたが、とにかく大事なことは「CEは無保証」ということです。かなり安全寄りのデータ分散ロジックを使っているNutanix HCIであろうとも、商用版とCEではハードウェアも、設置環境も、その他諸々条件が異なりますので、それを踏まえて利用するようにしましょう!

Nutanix or ヤギ のことををつぶやきます。